7年ほど前の話になるが、デジタル印刷機で印刷したブルー基調のポスターの再現が思いのほか赤くなった事例があり、再現色域外のブルーを多く含む原稿をテストした。
原稿は人物写真を縦27枚横12枚集版して全体的にブルーの色付けをした背景上に文字等を配置した大変凝った作りの作品で、RGBで作成したデータをCMYKの台紙に貼ったPDFデータとして入稿され、出力インテントは設定されていなかった。色味変化の様子を、原稿の一部をランダム化した画像で図1に示す。この原稿、印刷屋としては大変厄介な原稿で、その原因は2つある。
①印刷やプリンタの再現色域外のブルーが画面の広い面積を占めている
②色変換で使用されるCIELAB空間は、この領域で色相線が曲がっている。
テストした原稿のガマットをsRGBとして見ると図2に示す様にJapanColorの色域外となってsRGBのガマット境界まで伸びている。そのため、CMYK化して印刷すると印刷物の色味の鮮やかさが相当減ることとなる。また、この領域の明度4の場合の色相線を図3に示す。この軌跡はマンセル表色系の色度値から求めたが、他の領域に比べ曲がり量が大きく、グレー軸に向かって直線的に圧縮すると色相が変わり、色味が赤色方向にずれることとなる。
実際にデジタル印刷機で使用されたプロファイル(test)とJapanColor2011プロファイル(JC)による色相線のマッピング状況を図3に合わせて示す。testは7.5PBのパッチが10PBの線までズレるのに対しJCはほとんどズレていない。10PBではJCもずれるが、半分程度である。この例は変換インテントが相対的の場合であるが、知覚的の場合、JCはあまり変わらないが、testは大きく変化する。7.5PBはズレなくなるも、逆に5PBなどが色域内も変わってくる。この辺の色域外や知覚的の処理は、プロファイル作成システムの設計思想による所が大きいと思われるが、運用上は注意が必要である(このtestプロファイルはJapanColorなどのCMYKプロファイルと組み合わせてデバイスリンクで運用する前提で直接的な変換は想定されていなかった可能性がある)。
印刷会社でデータ作成までを行う従来のワークフローであれば、RGBからCMYKへの変換時に気付かれる可能性があるが、お客様がディスプレイ確認だけで直接入稿される印刷通販の場合などは起こり得る問題である。この様な場合のアルワンカラーハブでの対処や、プロファイルによる違いについては次回以降で紹介する。